Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがをつくるはなし
中谷宇吉郎集 第三巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第三巻 (えいがをつくるはなし) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.667 Zeichen · 95 Bildschirme
それが無いと仮定して、扉をすっかり開け放った場合を想像しても、今日蛍光灯の光で浮び上ったような壁画が、完全な照明なしで、あの建物の中でどうして描かれたかは、現代人の眼の力では解けない謎だという話であった。こういうことは、画家の人たちの方が余程敏感なのであろう。
壁画の摸写は四組に手分けしてされていた。そして中央の須弥壇と壁画との間の狭い隙間に櫓を組んで、その上に坐って描くようになっていた。それで他の壁画は櫓のかげになったり、或は照明がされていなかったりして、外から見ることは出来なかった。それでも私たちは、二号壁から受けた強い印象だけで十分満足して辞し去ることにした。
その夜は秋の吉野で泊る手配にしてあった。しかし考えて見ると、どうしても心が残るので、吉野は泊るだけにして、翌朝は早く今一度法隆寺へ戻ることに二人で話を決めた。
次の朝は吉野の桜紅葉を朝霧の中で瞥見しただけで、急いで山を降りた。Y君は「とんだ吉野見物ですね」と笑っていた。時間を節約する為に、電車の中で鮎ずしを喰べて、ひる少し前に法隆寺村へ着いた。
その足で阿弥陀院へ行って見たら、森田さんたちは、ちょうど昼飯のすんだところであった。