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Japanische Klassiker mit Furigana

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くだん

九段

坂口 安吾

Lesen Sie 九段 (くだん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.870 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

あきらめが早すぎたというものだ。彼は運わるく東京中で一番怖るべき婦人のところへ、一番先きに、一番多く物資を売りこみすぎたのである。彼は独立の商法をやめて銀行員となり、殺人鬼の襲撃以外には平和な一生を約束された生活につくことができた。

姉さんの激しい気性に圧倒されて育ったせいか、マダムも一通りの負けギライで相当のスポーツウーマン、勝負ごとに相当強いらしいけれども、烈火の気性は全然ないのである。ある日、女中が一冊の多彩の花模様の日記帳を持ってきた。スミレと星と花と雪、これをタカラヅカ調というのかナ、それにしてもこの日記帳はタカラヅカ幼稚園、最低学年用のものに相違ない。

「マダムのお嬢さんにたのまれたのですけど、生れ月日の下へサインして、感想欄のところへ何か感想を書いて下さいッて」

なるほど署名欄は三百六十五日の日附になっていて、ところどころ生れた月日の下に誰かの署名がある。私も自分の誕生日のところへ署名した。

「マダムのお嬢さんは、いくつ」

「十九です」

「ホントかい?」

「いまのお嬢さん方はこれが普通でしょう」

そうですかねえ。怖るべきはタカラヅカ。しかし、オカミサンの娘に生れると、十九になってこんな日記帳をたのしんでいることはできないのである。