Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちとみつのながれるち
乳と蜜の流れる地
笠 信太郎
Lesen Sie 乳と蜜の流れる地 (ちちとみつのながれるち) von 笠 信太郎 (りゅうしんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.472 Zeichen · 7 Bildschirme
そうすると、サカナの好きな日本人、ことに私のような食いしんぼうには、そのサカナを無限に蔵しているばかりでなく、無限に生み出す力をもっているあの青い大きな海、何もかもがその色に染まってしまいそうな深い群青の海、そして潮の匂いがすぐにみずみずしい藻を連想させたり、それ自体が塩っぱい味を運んでくる潮風を吸い込んだりするときに、私が空腹感を感ずるというのは、むしろ自然ではなかろうかと思う次第である。
こうして青い海が、あのぴちぴちした魚を生むのだという幻想は、いまもって私から消えないのである。
ところで、ヨーロッパの国々の人たちが、私たちほどにはサカナに興味をもっていないことは確かにちがいない。スイスにはたくさんの湖があちこちにあるが、あまり釣をしている人を見かけない。むろん皆無であるはずはない。チューリッヒの湖を前にしているあの大きな橋の上で、長い糸を垂れている一人二人を私も見かけたことがある。それでは湖にはサカナはいないのかというと、そうではないのだから、少し不思議である。私は、湖畔のホテルなどに泊まると、よく散歩をして、岸の上から必ず水をのぞき込んだ。