Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちをさす
乳を刺す
邦枝 完二
Lesen Sie 乳を刺す (ちちをさす) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.474 Zeichen · 35 Bildschirme
「てめえは、お由利さんに、想いを寄せてたんだろう。平太郎に取られるのが、たまらなくなったんで、飛んでもねえ真似を、しやがったに違いねえ。その心底が判ってればこそ、てめえを養子に迎えるはずのお春さんが、てめえの味方になっちゃアくれねえんだ。どうだ、申し開きがあるか」
「………」
「お春さん。そうだろう?」
「わたしは、常吉が殺したとは申しませんが、姉さんと常吉とを較べますと、姉さんの味方をしたいと、思いますので……」
「よし、常吉。どうだ?」
「わ、わたくしは、子供の時分、御奉公に参りましてから、上のお嬢さんには、いつも優しくして頂きました。母親のないわたくしはもったいないことながら、母とも姉とも、お慕いしてきましただけに、お嬢様を殺すなどと、そんな大それたことが、出来るわけはございません。……刃物はきょう、犀角散を、削ることになって居りましたので、磨がしましたばかり。決して、血を落としたんじゃございません」
「それじゃてめえは、お春さんに見られた時ア、離れからの帰りじゃなかったのか」
「………」
「厠にゃお春さんが這入っていたんだ。てめえは用もねえのに廊下を歩いていたんじゃあるめえ」