Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぶさ

乳房

宮本 百合子

Lesen Sie 乳房 (ちぶさ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.932 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

横丁を曲ると、羽目に寄せて、ズラリと自転車が並んでいるのが目についた。夫々うしろに一寸した包をくくりつけたままで、斜かいに頭を揃えて置いてあるのだが、その一台には、つつじの小鉢が古い真田紐で念入りにからげつけてあった。

青葱の葉などが落ちている朝の往来をそっちに向って近づきながら、ひろ子は或る言葉を思い出した。その国の労働者の生活状態はその国の労働人口に比例して何台自転車をもっているかということで分る、多分そんな文句であった。今目の前に市電の連中の自転車は二十台以上も並んではいたが、スポークがキラキラしているような新しいのは唯の一台もなかった。

ガラス戸が四枚たつ入口のところへ、三々五々黙りがちに従業員がやって来ていた。入口のすぐ手前のところで立ち停ってバットの最後の一ふかしを唇を火傷しそうな手つきで吸って、自棄にその殼を地べたへたたきつけてから入るのがある。どっかりと上り框に外套の裾をひろげて腰をおろし高く片脚ずつ持ち上げて、いそぎもせず靴の紐を解いているのがある。

ひろ子は足許の靴をよけて爪立つようにしながら、

「あの、山岸さん見えていましょうか」