Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よげん

予言

久生 十蘭

Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

玄関を入ると、正面のリンブルゴの和蘭焼の大花瓶に、めざましく花をつけた薔薇の大枝を一と抱えほども投げ込みにし、その前に安部と知世子が立ってニコニコ笑いながら出迎えをしていた。そこへ酒田が来て、二人のほうを顎でしゃくりながら、

「なかなかいいじゃないか」

と自慢らしくいう。大振袖を着た知世子も美しいが、燕尾服を着た安部も見事だ。安部を知世子にとられたとも思わないが、やはり忌々しい。

「これゃ、ちょっと口惜しいね」

すると後にいた松久が、

「あまり、いい気になるといけないから、すこし、たしなめてやろう」

といって知世子のところへ行った。

「知世子さん、安部を一人でとってしまった気でいては困るよ。あなたには、いろいろ怨みがかかっているんだ、男の怨みも女の怨みも……気をつけなくっちゃいけない」

知世子は、ええ、それはようく承知していましてよ。もう、さんざどやされましたわ、と、うれしくてたまらないふうだった。

二人は五時頃まで玄関に並んで、出迎えをしたり祝詞を受けたり、華々しくやっていた。そのうちにホールで余興がはじまり、おもだったひとも来つくしたようなので、脇間に集まっている女子部時代の仲間に知世子をひきわたし、安部はホールへつづく入側になった廊下のほうへ歩いて行った。