Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
妻である多計代の場合、少女だった伸子に警告したよりももっと責任は現実的であるし、そういう事情だとすれば、嘘のつけない多計代が、それについて悩むのは自然だと思われた。大柄で、多産で、衣類やもちものなどにやや俗っぽい豪華の趣味をもっている多計代のうちに、古風に、矛盾しながら保たれている純潔さ。
伸子は、ある手紙を思い出した。年月が経って古びた白いありふれた四角い大型の西洋封筒の表には、鵞堂流で英語を書いた見本のようなのんびりした曲線的な字で、ミスタ・タイゾウ・サッサと、ロンドンでの泰造の下宿先が宛名にかかれている。封のとじめには、赤い蝋で封印する代りに、赤い小さい楕円形の紙を細かいレースあみめにうちぬいた封緘紙が貼りつけてある。封筒は行儀よく鋏で截られていて、なかに日本の雁皮紙にしんかきでぴっしり書き埋めた厚い手紙が入っていた。細かく書きつめられている字は伸子によみ下せないほどの草書で、幾枚もつづいた終りの宛名に、英京ロンドンにて、なつかしき兄上様まいると、色紙にかくように優美に三行に書かれていた。多計代という名をかく前、本文の終りの一行たっぷりが、上から下までバッテンバッテンのつづきでうめられてあった。