Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、多計代が彼女なりに子供を愛していることとはまた別のことであった。息子たちに激しく求めている純潔も、思えば、多計代のうちにある、理想化された男性へのあこがれのてりかえしであると思える。

保の部屋の入口の鴨居にあるメディテーションという貼紙は思い出すたびに伸子の心を暗くし、同時に、保と対蹠する存在として一家の中にある姉の自分を思わずにはいられなかった。多計代の女の心のかげをこうたどって来てみれば、母にとっても対比されるものとして存在する娘である自分を思わないではいられなかった。つよい生命力をもちながら、時代の境遇によって夫人、母という立場から動けない四十代の多計代のかたわらで、一人前の女となった若々しい伸子は、どういう風に生きて来たろう。少くとも伸子は、一人の人間としての女の熱中を傾けて、それをあからさまに主張し、佃とも恋愛し、結婚し、離婚して来た。

伸子は、思わずかけている籐椅子の上で力のこもった身じろぎをした。一時に多くのことが諒解された。多計代のうちには、決して母という名で消しつくされようとしていない若さが自覚されているにちがいなかった。