Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
内側が赤塗りの大きい鮨桶がその中に笹の葉だけをのこして、皿や茶碗と一緒にまだかたづけられず真中の大テーブルの上にひろがっていた。そのテーブルのはしに送り状を紐にまきつけた三越からの届け品の細長い箱が二つ、ひょいと抛りのせたように斜かいにのっている。
伸子は立ったまま、この室内の光景に目をとられた。それは異様な感じだった。ただ主人たちが留守の家のがらんとした空気ばかりでない異様な感じがした。室の空虚さと、空虚にかかわらずそこに見えない力で運転している浪費の姿がまざまざと感じられて、伸子は異様な感じがした。
この生活は誰のもので誰が動かしているのだろう。さっき、丸の内で一時間あまり一緒に過して来た父が主人なのだから、これが父の生活だというには、父とこの生活との間に距離がありすぎた。父は父ではっきり自分としての生活の輪をもっている。伸子は、くりかえし異様な感じにうたれた。この生活の雰囲気には、人と人とが互いに繋って何かのために生きて動いているというより、人々が何かによって生かされ、動かされていて、それについて無意識でいるような奇妙な無人格性がある。その無人格性の感じは、瞬間のうちにも追ってゆくと底なしの深さに深まって感じられる空虚さであった。