Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

述懐するようにいった。

「だって――それゃそうなるわよ。一つの問題が片づかないうちにまた次々と問題はおこるんですもの……」

「そうじゃあないよ」

独特のあどけない口調で否定した。

「ただ自分がものしりだっていうことや、沢山本をよんでいることを自慢するためにだけ議論するんだもの、皆をびっくりさせてやれ、というように、むずかしいことをいうだけなんだもの……」

「そうかしら……そういう人もあるだろうけれど……」

伸子は椅子の背にもたれ、少しやぶにらみになったような視線で保をじっと見守っていた。そして、思い出した。それは、保が赤い毛糸の房のついた帽子をかぶって小学校へ通いはじめた、二年生ぐらいのことであった。多計代が、おどろいたように、崇拝するように、

「保ちゃんて、大した子だ」

そういって伸子に話した。保が通っていた小学校は師範の附属で、春日町から大塚へ上る長い坂を通った。その坂は、本郷台から下って来て、またすぐ登りかかる箇所であったから、電車はひどくのろく坂をのぼった。ある朝、保がそういうギーギーのぼるのろくさ電車に乗っていると、それを見つけた同級生たちが、面白がって電車とかけっこをはじめた。