Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しつらくえんさつじんじけん

二十世紀鉄仮面

小栗 虫太郎

Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

主人は二、三日来咽喉を痛めて居りますので、黙祷と見えて読経の声も聴こえず、夕食にも戻りませんでした。ですから、毎夜の例で十時頃に、私が池の方へ散歩に参りました途中、薬師堂の中で見掛けましたのが、最後の姿だったので御座います」

「所が、その時とうに、御主人は玄白堂の中で屍体になってた筈なんですがね」

「それを私にお訊ねになるのは無理で御座いますわ」柳江には全然無反響だった。「決して、虚偽でも幻覚でも御座いませんのですから」

「すると、扉が開かれていた事になる」熊城が誰にともなしに云った。「慈昶はピッタリ閉めて出たと云うのだがね」

「屹度、護摩の煙が罩もったからだろう」法水は大して気にもせず質問を続けた。「所で、その時何か変った点に気が付きませんでしたか?」

「ただ、護摩の煙が大分薄いな――と思った位の事で、主人は行儀よく坐って居りましたし、他には何処ぞと云って……」

「では、帰りにはどうでした?」

「帰り途は、薬師堂の裏を通りましたので……。それから十一時半頃でしたが、主人の室の方で歩き廻るような物音が致しました。私は、その時戻ったのだと信じて居りましたのですが」