Japanische Klassiker mit Furigana
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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme
独身の画描きに確実な不在証明のないと云う事は、万々承知の上だけれども、正直が最善の術策なり――と信ずるが故に……。
読み終って、法水は悔む様な苦笑をした。
「友情を裏切って、カマをかけて……そして判ったのは、柳江が云えなかったものだけだったよ。態を見ろ法水!」
それから、彼は独りで池の対岸に行き、水門の堰を調べてから、探し物でもする様な恰好で、俯向きながら歩いていたが、やがて一本の蓮の花を手に戻って来た。
「妙なものを見付けて来たよ」そう云って、花弁をり取ると、中には五、六匹の蛭が蠢いていた。
「堰近くにあったのだが、どうだ良い匂いがするだろう。タバヨス木精蓮と云う熱帯種でね。此の花は夜開いて昼萎むのだよ。そして、閉じられた花弁の中に蛭がいたとすると、犯人が池の向岸で何をしたか解る筈だがねえ」
「……」検事と熊城は、莨の灰が次第に長くなって行くけれども、遂に答えられなかった。
「判らなければ、僕の方から云おう。犯人が、池の水で血に染んだ手を洗ったのだが、その時附近に水浸しになっていた木精蓮の一本があったとしたらどうだろう。勿論血の臭気を慕って蛭が群集する事は云う迄もないが、それから間もなく、犯人は浮遊物を流すために、水門の堰板を開いて水を流したのだ。