Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
「うそつけえ、月夜じゃないか」
「ああ聞いた、あ聞いた。月夜の蟹はやせて、うも(うまく)ないのに」
正が確信をもっていうと、小ツルもまけようとしない。同じように正の口まねで、
「ああ聞いた、あ聞いた。月夜の蟹がうまいのに。ためしに食うてみる、みんなくれ」
「いや、こんな川の蟹でわかるかい。海の蟹じゃのうて」
それをきくと女組がわあわあさわぎたて、窓の先生にむかって口ぐちにきいた。
「せんせ、月夜の蟹とやみ夜の蟹と、どっちがおいしいん?」
「せんせ月夜じゃなあ」
マスノや小ツルやミサ子たちだった。
「さあ、ねえ。やみ夜のように思うけど……」
男組がわあっときた。
「ほらみい、ほらみい」
こんどは先生は笑いながら、
「でも、月夜のような気もする……」
女組が両手をあげ、とびとびしてよろこんだ。そうしてさわぐことがおもしろく、だれもそれを本気にして考えてはいなかったのだが、正だけは熱心に先生を見あげ、
「馬鹿いうな先生!」
すると女組がまた、わあっときた。
「先生を馬鹿じゃとい」
「ほう、タンコは先生を馬鹿じゃとい」
正は頭をかき、みんなのしずまるのをまって、やっぱりしんけんにいった。