Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
だ。おやっと思うまもなく、
「おはようございます」
あいそよく頭をさげて通りすぎた女がある。
「おはようございます」
返事をしたとたんに、はっと気がついたが、ちょうど下り坂になった道を自転車はもう走りさっていた。よろずやのおかみさんはあわてて、となりの大工さんとこへ走りこみ、井戸ばたでせんたくものをつけているおかみさんに大声でいった。
「ちょっと、ちょっと、いま、洋服きた女が自転車にのって通ったの、あれがおなご先生かいの?」
「白いシャツきて、男みたような黒の上着きとったかいの」
「うん、そうじゃ」
「なんと、自転車でかいの」
昨日入学式に長女の松江をつれて学校へいった大工のおかみさんは、せんたくものを忘れて、あきれた声でいった。よろずやのおかみさんは、わが意を得たという顔で、
「ほんに世もかわったのう。おなご先生が自転車にのる。おてんばといわれせんかいな」
口では心配そうにいったが、その顔はもうおてんばときめている目つきをしていた。よろずやの前から学校までは自転車で二、三分であろうが、すうっと風をきって走っていって十五分もたたぬうちに、女先生の噂はもう村中にひろまっていた。