Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
自転車は久子としたしかった自転車屋の娘の手づるで、五か月月賦で手にいれたのだ。着物がないので、母親のセルの着物を黒く染め、へたでもじぶんで縫った。それともしらぬ人びとは、おてんばで自転車にのり、ハイカラぶって洋服をきていると思ったかもしれぬ。なにしろ昭和三年である。普通選挙がおこなわれても、それをよそごとに思っているへんぴな村のことである。その自転車が新らしく光っていたから、その黒い手縫いのスウツに垢がついていなかったから、その白いブラウスがまっ白であったから、岬の村の人にはひどくぜいたくに見え、おてんばに見え、よりつきがたい女に見えたのであろう。しかしそれも、大石先生にはまだなっとくのゆかぬ、赴任二日目である。ことばの通じない外国へでもやってきたような心細さで、一本松のわが家のあたりばかりを見やっていた。
カッ カッ カッ カッ
始業を報じる板木が鳴りひびいて、大石先生はおどろいて我れにかえった。ここでは最高の四年生の級長に昨日えらばれたばかりの男の子が、背のびをして板木をたたいていた。校庭に出ると、今日はじめて親の手をはなれ、ひとりで学校へきた気負いと一種の不安をみせて、一年生のかたまりだけは、独特な、無言のざわめきをみせている。