Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
「でもまあ、よかったではないか、久子」
しかし大石先生はだまっていた。そして晩の御飯もいつもよりたべなかった。夜おそくまで考えつづけたあげく、やっとお母さんにいった。
「よかったのかもしれないわ。わたしにも、後藤先生にも」
それは「よかったでないか、久子」といわれてから四時間もあとのことであった。お母さんはほっとした顔で、
「そうとも、そうともお前、万事都合よくいったというものよ、久子」
すると先生はまた、ややしばらく考えてから、はっきりいった。
「そんなこと、ぜったいにないわ。万事都合なんかよくならない。すくなくも後藤先生のためにはよ。だって、老朽なんて、失礼よ」
この娘は気が立っているのだというふうに、お母さんはもうそれにさからおうとはしないで、やさしくいった。
「とにかく、もう寝ようでないの。だいぶふけたようじゃ」
その翌朝、思いたった大石先生は、岬の村へ船で出かけた。船頭は小ツルの父親とおなじく、渡し舟をしたり、車をひいたりするのが渡世の、一本松の村のチリリンヤであった。十月末の風のない朝だ。空も海も青々として、ひきしまるような海の空気は、両袖で思わず胸をだくほどのひやっこさである。