Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしんぞう

二重心臓

夢野 久作

Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme

Aozora Bunko

無論事実だよ。しかもよく在勝ちの事実さ。しかも、それよりもモット重大な事実があるんだから呉羽嬢の寝過し問題なんかテンデ問題にならん」

「ドンナ事実です」

「今話した支配人の笠圭之介ね。その笠支配人が台所女中のヨネからの電話で、丸の内のアパートから自動車で飛んで来たのが、今日の十二時チョット前だった。それから主人の死体や何かを吾々立会の上で調べている中に、机の上に小切手帳が投出してあるのに気が附いた。調べてみると、昨日の日附で堀端銀行の二千円の小切手を誰かに与えている事がわかった。そこで万が一にもと気が付いて、堀端銀行に問合わせてみると、今朝の事だ。堀端銀行が開くと同時に二千円を引出して行った者が居るという。それは絽の羽織袴に、舶来パナマ帽の立派な紳士であった。色の黒い、背の高い、骨格の逞しい肥った男で、眉の間と鼻の頭に五分角ぐらいの万創膏を二つ貼っていたので、店員は最初何がなしに柔道の先生と思っていた。それだけに至極沈着いているようであったが、しかし這入ってから出るまで一言も口を利かず、何気もない挙動の中に緊張味がみちみちて、油断のない態度であった。