Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうのしき
京の四季
和辻 哲郎
Lesen Sie 京の四季 (きょうのしき) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.914 Zeichen · 16 Bildschirme
ただほんの一端が見えるだけである。
京都の湿気のことを考えると、私にはすぐ杉苔の姿が浮かんでくる。京都で庭園を見て回った人々は必ず記憶していられることと思うが、京都では杉苔やびろうど苔が実によく育っている。ことに杉苔が目につく。あれが一面に生い育って、緑の敷物のように広がっているのは、実に美しいものである。桂離宮の玄関前とか、大徳寺真珠庵の方丈の庭とかは、その代表的なものと言ってよい。嵯峨の臨川寺の本堂前も、二十七、八年前からそういう苔庭になっている。こういう杉苔は、四季を通じて鮮やかな緑の色調を持ち続け、いつも柔らかそうにふくふくとしている。ことにその表面が、芝生のように刈りそろえて平面になっているのではなく、自然に生えそろって、おのずから微妙な起伏を持っているところに、何ともいえぬ美しさがある。従ってそういう庭は、杉苔の生えるにまかせておけば自然にできあがってくる道理である。臨川寺の庭などは、杉苔の生えている土地の土を運んで来て、それを種のようにして一面にふりまいておいただけなのである。しかしその結果として一面に杉苔が生い育ち、むらなく生えそろうということは、その場所にちょうどよい条件がそろっていることを示している。