Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうとのあさいち
京都の朝市
柳 宗悦
Lesen Sie 京都の朝市 (きょうとのあさいち) von 柳 宗悦 (やなぎむねよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.604 Zeichen · 12 Bildschirme
ここが大いに魅力のある所であろう。こんな場所では知識などは余り役に立たぬ。それだけに直観が遠慮なく活躍せねばならぬ。之が働くと、物の方でも悦んで近寄ってくるのである。
よく民芸館に飾られる全緑釉、指掻紋の大捏鉢があるが、之も朝市での収獲であった。その日私は時間がおくれて九時頃に出かけた。あの弘法の市日で、広い境内に所せまきまでに、品物が拡げてあった。時間は既におそく、帰りがけの人も多い頃であったが、ふと見ると筵の上にこの大捏鉢が燦然と輝いているではないか。驚いたのはこの私である。早速に値を聞くと、たった二円であった。昭和四年頃のことである。私は有無なく買取って、荒縄で縛ってもらった。
おかしなことに、この日何千という人々が朝早くからつめかけ、とくに小道具屋の連中は、鵜の目鷹の目で、品物を漁っているのである。それなのに、こんな大きな鉢、こんなにも見事な、そうして珍らしい品物を、振り向きもしないとは、どういうわけか。それも言い値が二円なのである。気の毒と云っていいのか。品物は地面の上に広げられた筵の上に、粗末に置いてあるままである。私は勿体ない想いで、飛びつくように買った。