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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとでなしのこい

人でなしの恋

江戸川 乱歩

Lesen Sie 人でなしの恋 (ひとでなしのこい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.245 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

今こうして懺悔話をいたしますのも、亡き夫への、せめてもの罪亡ぼしでございます。

しかし、その当時の私は、恋に目がくらんでいたのでございましょう。私の恋敵が、相手もあろうに生きた人間ではなくて、いかに名作とはいえ、冷い一個の人形だと分りますと、そんな無生の泥人形に見返られたかと、もう口惜しくて口惜しくて、口惜しいよりは畜生道の夫の心が浅間しく、もしこの様な人形がなかったなら、こんなことにもなるまいと、はては立木という人形師さえうらめしく思われるのでございます。エエ、ままよこの人形奴の、艶かしい這面を、叩きのめし、手足を引ちぎってしまったなら、門野とてまさか相手のない恋も出来はすまい。そう思うと、もう一ときも猶予がならず、その晩、念のために、もう一度夫と人形とのおう瀬を確めた上、翌早朝、蔵の二階へ駈上って、とうとう人形を滅茶滅茶に引ちぎり目も鼻も口も分らぬ様に叩きつぶしてしまったのでございます。こうして置いて、夫のそぶりを注意すれば、まさかそんな筈はないのですけれど私の想像が間違っていたかどうかも分る訳なのでございます。

そうして丁度人間の轢死人の様に、人形の首、胴、手足とばらばらになって、昨日に変る醜いむくろをさらしているのを見ますと、私はやっと胸をさすることが出来たのでございます。