Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひとのくに
人の国
豊島 与志雄
Lesen Sie 人の国 (ひとのくに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.761 Zeichen · 16 Bildschirme
その様子をじっと見ていた久保田さんは、やがて歩み寄ってきて、落凹んだ眼をくるくるとさした。
「わしはいろんなことを研究しているんだが、運動をした際には、どうも人の身体は軽くなるように思える。そこで……。」そんな風に云いながら、肩をそばめてつっ立ってるお清の手から、竹箒を取ってそれを例の木立に立てかけた。「じっとしていてごらん。」
咄嗟に一歩後ろへ廻って、薄いメリンスの帯のあたりへいきなり手をかけて、足をふんばりざま持ち上げようとしたが、首を縮め腰を落した彼女の身体は、円っこくなってずっしりと重かった。その手掛りのないやつを更に引寄せて、力を籠めて持ち上げようとした。
「こんな筈ではないんだが。」
くくくくと忍び笑いをするのを、もう一息と気張ってる瞬間に、突然彼女は堅くなった。
「いけませんわ。若旦那様が……。」
円っこい堅い重みがするりと手からぬけ出した。久保田さんは一歩半ばかりよろめいて、ひょいと向うを見ると、木斛の粗らな下枝の茂みの彼方に、高等学校の受験準備をしてる長男の洋太郎が、寝間着姿で縁側に立っていた。ちらと視線が合ったか合わないか分らないまに、洋太郎は顔を伏せて、青銅の手洗鉢の水を二三杯手に注ぎかけて、そのまま家へはいってしまった。