Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとをのろわば

人を呪わば

国枝 史郎

Lesen Sie 人を呪わば (ひとをのろわば) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.223 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

三

×

「爾今出社に及ばず候」

一條の戴いた辞令である。

×

太田君とそうしてお君との会話。――

「一條って奴は名文家でね、同じ材料を使っても、彼奴が書くと活きて来る。同じ西署詰の俺に執っては、謂わば苦手と云う奴さ。……彼奴ひどく夜更かしが好きでね、毎々非常線に引っかかるそうだ。……そこでお君ちゃんを活用したのさ。……彼奴鳥渡詩人なんだよ。詩人と云う奴は飽きっぽいんでね。同じ女じゃあ不可まいと思って、そこでお絹さんにも頼んだのさ」

「では頂戴よ、あの人の分まで」

「よし来た、これが彼奴の分だ……」

十円札を蟇口から出す。

×

一條へ来たお君からの手紙。――

「これを持って今夜いらっしゃい」

十円の為替が這入っている。

「そうそう非常線に引っかかるものか」

一條為替を返送する。

三

お君不機嫌に独言を云う。

「あの人なんだか可哀そうだから、今夜呼んで太田の話を、ぶちまけて話してやった上、すぐに暮らしに困るようなら助けてやろうと思ったんだが、女から送った十円ばかりの金を、送り返してよこすような、そんな正義派の男なら、妾、見返ってもやりゃあしない」