Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんさんすいずまき
人間山水図巻
吉川 英治
Lesen Sie 人間山水図巻 (にんげんさんすいずまき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.343 Zeichen · 21 Bildschirme
この県は戦争中の取立と近年にない飢饉とで、見た通り鶏の啼き声一つしなくなっているとも云った。なるほどと蕭照はいやが上にも荒涼たる感を抱かせられ、更に数日を隣県の方へあてなくあるいていた。
すると県境の河を渡ってくる葬式があった。数名の男が柩をかつぎ弔い幡を持って、彼の側をすれちがった。
『ははあ、殊によると、彼等は例の類かもしれないぞ』
彼は多少文字を解す男なので、かつて書物で読んだ唐時代の世相をふとおもい起した。
それは「柳氏叙訓」という書に見たことであった。著者の柳公綽が、襄陽の民政監察官として、その地にあった時の見聞を自記したものである。折しも襄陽は凶年だったが、隣の県はもっと窮迫を極めていた。
一日、喪服を着た者が、役所に来て、慟哭しながら、願書と共に口でも訴えた。
(私は、先祖思いなので、先祖十二人の棺を、郷里から武昌の家の方へ移そうとおもい、せっかくこれまで運んで来ましたのに、分らずやの川番役人共がどうしても許可してくれません。どうか改葬のための通行証をお下げ渡しください)
(そうか、川番役人は、そんなに分らずやか、わしが行って裁いてやろう)