Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんはんえい
人間繁栄
豊島 与志雄
Lesen Sie 人間繁栄 (にんげんはんえい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.038 Zeichen · 38 Bildschirme
俺だって考えを変えないこともないからね。」
「いいえ、そんなことではありません。商売人の不見転なんかに手出しをなさるよりは、はっきりこれこれときまってる方が、まだよいと思っていますわ。」
「それでは、お前の考えてることは一体何だい。俺にはさっぱり見当がつかないんだが……。」
そして彼は出来るだけ言葉の調子を和げて、彼女の意中を探りにかかったが、彼女はぴたりと心を鎖して一言も洩さなかった。しまいには彼も諦めて、先に床に就いた。
その夜中に、彼はふと変な心地で眼を覚した。隣りの室に人の気配がするようなので、なおはっきり眼がさめて、気がついてみると、傍の布団に寝てる筈の八重子がいなかった。それが変に気にかかって、だいぶ待って後に、起き上って隣室を覗いてみた。
彼は喫驚した。八重子がしょんぼりと火鉢にもたれて坐っていて、※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)を襟に埋めて考え込んでいた。
「どうしたんだい。」
八重子はひょいと顔を挙げて、何かを見定めるらしく彼の立姿をじっと見つめていたが、俄に寒い風にでもあたったかのように、ぶるっと一つ身震いをした。と殆んどすぐにわっと泣き出してしまった。