Japanische Klassiker mit Furigana
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にんぎょ
人魚
火野 葦平
Lesen Sie 人魚 (にんぎょ) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.457 Zeichen · 15 Bildschirme
わたしは自分のほうに顔がむくとはっとして首をひっこめました。
それにしても、この女はなにものでしょうか。もう海の水もつめたいことでしょうに、いっこう気にしている様子もなく、たのしげに波にただよっているさまはまったく海と同化しているみたいで、海が自分のすみかのようにさえ感じられます。わたしはあたりを注意してみましたが、どこにも着物をぬいでいる様子がありません。家とてふきんには一軒もないのですから、家から裸のままできたとも思われないのです。不思議なことに思っているうちに、わたしの疑問はまもなく氷解いたしました。女は渚からあまり遠くないところで波に浮いたりしずんだりしていましたが、ふとこれまでは見なかった身体の下半分がちらと波のうえにあらわれました。わたしはさっきからまっ白いふくらはぎを想像していたのですが、波のうえにあらわれたのは鱗につつまれた魚の尻尾で、ああ人魚だったのだとはじめて悟ったのです。そうとわかればさっきからのさまざまのこと、海と同化しているようなたわむれのありさまなども当然のこととわかります。人魚というものは話にだけきいていましたので、わたしはさらに好奇心をそそられ、ついに、姿をかくして、人魚のかたわらにちかよりました。