Japanische Klassiker mit Furigana
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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Lesen Sie 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.178 Zeichen · 159 Bildschirme
ました際、貴郎様にはお館様のお名を、口にお出しなさるでございましょうか?」
「なにを馬鹿な、そのようなこと、わしは云わぬの、決して云わぬ」
「八重も申しはいたしませぬ」
「…………」
頼母は無言で眉をひそめたが、やがてその眉をのんびりさせると、大胆な美しいお八重の姿を、寧ろ感心したように眺めやった。
まことお八重は美しかった。年は二十二三でもあろうか、細々とした長目の頸は、象牙のように白く滑かであり、重く崩れて落ちそうな程にも、たくさんの髪の島田髷は、鬘かのように艶やかであった。張の強い涼しい眼、三ヶ月形の優しい眉、高くはあるがふっくりとした鼻、それが純粋の処女の気を帯びて、瓜実形の輪郭の顔に、綺麗に調和よく蒔かれている。
小造りの体に纏っている衣裳は、紫の矢飛白の振袖で、帯は立矢の字に結ばれていた。
そういう彼女が牢格子の中の、薄縁を敷いた上に膝を揃えて、端然として坐っている姿は「美しい悲惨」そのものであった。牢の中は薄明るかった。というのは格子の外側に、頼母が提げて来たらしい、網行燈が置いてあって、それから射している幽かな光が、格子の間々から射し入って、明暗を作っているからであった。