Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あだうちきんしれい

仇討禁止令

菊池 寛

Lesen Sie 仇討禁止令 (あだうちきんしれい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.238 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

「子細とはなんじゃ」

「万之助は、敵討がしたいのでございます」

「えっ!」新一郎は、ぎくっとして、思わず声が高くなった。

「父頼母を殺された無念は、どうしても諦めることができません」

「……」

新一郎は、腸を抉られるような思いがして、口が利けなかった。

「私は、父が側腹を刺され、首を半分斬り落されて倒れている姿を見ました時、たとい一命は捨てても、敵に一太刀報いたいと決心したのでございます。が、御維新になりまして、敵討などももう駄目かと諦めておりましたところ、明治三年に御発布になりました新律綱領によりますと、父祖殺された場合は、敵を討ちましても、あらかじめ官に申告しておけば罪にならぬという一条がございますので、ほっと安堵するとともに、復讐の志をいよいよ固めたのでございます。その上、同年、神田筋違橋での住谷兄弟仇討の噂が、高松へもきこえて参りましたので、矢も楯もたまらず、上京して参ったのでござりまする」

新一郎は、襟元が寒々としてくるのを感じながら、さり気なくきいた。

「敵は分かっているのか」

「分かっております。父が殺された翌日出奔した小泉、山田、吉川など五人に相違ござりませぬ」