Japanische Klassiker mit Furigana
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ことしこそは
今年こそは
宮本 百合子
Lesen Sie 今年こそは (ことしこそは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.146 Zeichen · 9 Bildschirme
何しろ、十五年前なら八十五円に当る千八百円ベースというもので、とどめをさされた収入なのに、物価は丸公の値上りで、あがる一方の一年でした。国民所得を戦前の百倍として、税は百二十六倍払わなければならず、経済安定本部の数字によれば、それでも去年十一月には、国民の家計は黒字になるはずだったそうです。黒字どころか、おしつまる年の瀬とともに、金のあるふところ、金のないふところの差別はまざまざとして、大晦日の新聞は、何と報道していたでしょう。キャバレーの床にシャンペンが流れ、高価な贅沢品はとぶように売れているのに、生活必需品の売れあしは、きわめてわるい、といっておりました。
天幕村の師走の夜に、つめたい青い月かげがさし、百万円の宝くじに当った人、一番ちがいで当らなかった人。そんなさわぎにまるで関係なく、燃料のとぼしい台所で、せめて子供のためにと、おいものきんとんを煮ていた主婦たち。さまざまの人の姿の上に一夜があけて、まずどうやら年を越した、おめでとう、と云い交すひとの心のなかには、あながち、古いしきたりばかりはありません。やはり、ことしという一年にかけている何かの新しい希望があるわけです。