Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
Lesen Sie 今戸心中 (いまどしんじゅう) von 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.688 Zeichen · 74 Bildschirme
今日ッきりだとか、今日が別れだとか、そんないやなことをお言いなさらないで、末長く来て下さいよ。ね、善さん」
「え、何を言ッてるんだね。吉里さん、お前さん本気で……。ははははは。串戯を言ッて、私をからかッたッて……」
「ほほほほ」と、吉里も淋しく笑い、「今日ッきりだなんぞッて、そんなことをお言いなさらないで、これまで通り来ておくんなさいよ」
善吉は深く息を吐いて、涙をはらはらと零した。吉里はじッと善吉を見つめた。
「私しゃ今日ッきり来られないんだ。吉里さん、実に今日がお別れなんです」と、善吉は猪口を一息に飲み乾し、じッとうつむいて下唇を噛んだ。
「そんなことをお言いなさッて、本統なんですか。どッか遠方へでもおいでなさるんですか」
「なアに、遠方へ行くんだか、どこへ行くんだか、私にも分らないんですがね……」と、またじッと考えている。
「何ですよ。なぜそんな心細いことをお言いなさるんですよ」と、吉里の声もやや沈んで来た。
「心細いと言やア吉里さん」と、善吉は鼻を啜ッて、「私しゃもう東京にもいられなければ、どこにもいられなくなッたんです。私も美濃屋善吉――富沢町で美濃善と言ッちゃア、ちッたア人にも知られた店ももッていたんだが……。