Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こんにちのじもく

今日の耳目

宮本 百合子

Lesen Sie 今日の耳目 (こんにちのじもく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.228 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

夜九時すぎから十時の間に、市電や省線にのりこんで来る詰襟の少年たちの心の底に求められているものは、何と云っても自分たちが偶然生れあわせた境遇に抗して、人生の可能を自分たちの現実によりひろげよりゆたかに獲得して行きたい熱望であろうと思う。もっと勉強したいという心は、世俗にすりへった成人の情感が忘れているばかりか、傍からもせき立てられて大学を終り役人になった人々の思いやることも出来ないような瑞々しさと鋭さと熱情とをもって少年の魂の命を息づいている。

少年たちが、自身のうちの何の力で環境的な不如意な生存に耐えて行くだろう。もっと勉強したい。単純なその表現のなかに、その少年たちの生涯的な生活感の核がひそめられているのだと思う。

どんな境遇におかれても、やる者はやるということはよく云われる言葉だと思う。特殊な例外の何人かにそれは当てはまる場合があろう。英雄伝はいつもそのように書かれるのが常套である。けれども、国民の日々の生気の溌溂さというものは、案外のところによりどころを持っていると思う。あながち食物の潤択さばかりにもない。物資の豊富さばかりにもない。

相当の空き腹で、相当に雨水のしみこんで来る靴で、少年たちが猶喜々としているとすれば、つまりは自分たちの胸底にあつく蠢いている自分たちの成長の可能への情熱の力による