Japanische Klassiker mit Furigana
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こんにちのどくしゃのせいかく
今日の読者の性格
宮本 百合子
Lesen Sie 今日の読者の性格 (こんにちのどくしゃのせいかく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.197 Zeichen · 13 Bildschirme
本と云ったっていろいろとある。そのいろいろの一つ一つが鑑別されないから、全集や円本をとる。その気持はそのものとして在るままに感じられていたのだと思う。だから、その自然な自分には分らないという自覚が、次の段階では判ると思えたものに率直にとりつかせる動機となって、直接間接に日本の文化や文学の新しい潮にかかわりあってゆく力の発露となったのであったと思う。
百円札をもって、これだけ本を下さい、という職工さんの話は、その頃にはなかったような現代の性格を示している。金銭というものの一つの側から云えば、いかにも値うちの小さいものとなりつつある感覚が表現されているといえるし、他面には、逆にきょう日この札一枚あればともかく何でも買える、その何でもの一つとして本も買えるという気持も、むき出しに出ている。本も買える。しかし、どんな本を買っていいのか自分には判らないということについて、心の中で立ち止っている姿はない。判らないことの上に居直っているようなところがある。
判ることと判っていないこととの間に、どれ程の意味があるか、そんな感覚さえ失われているようなのは、今日の読者のどういう特質なのだろうか。