Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

けさのゆき

今朝の雪

宮本 百合子

Lesen Sie 今朝の雪 (けさのゆき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.936 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

とき子の左眉から瞼にかけて薄すりある蒼い痣は、ふだんより目立って、そこにも何かの影が映っているかのようだった。ほんとにそれが物の蒼いかげで、とき子がその場所からどけば、かげだけはそこに止って、するりと白く、彼女の顔が抜けて来られるものならば。

今こうやって、事務所での初雪を眺めるとき子の心持のなかには、峯子がそれを張り合いとし、よろこびとしているものとは、またちがって、複雑な思いがこめられているにちがいない。

英語専門の学生時代、峯子は級の委員をして二年上級のとき子と知りあった。その時分から、とき子は、課外のタイプを熱心にやっていて、夜は速記を勉強しに神田の方へ通っていた。そして、だんだん気が合うにつれ、自分が生活の用意としてその学校にいることもかくさなかった。

「うちの父は変った性質なの。昔の人が山師って云うのは、ああいうのかもしれないわ。それでも、私はこんな学校へ入れてくれたりして……。うちの経済から云えば無理なんです」

そんな打明話もした。

とき子は、卒業するとすぐ、東京でも屈指の、半ば国立のような或る大銀行に勤めるようになった。採用試験のとき、とき子はいつも通りの素顔でゆき、勤めるようになってからもそれは変らなかった。