Japanische Klassiker mit Furigana
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 伊勢之巻 (いせのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.617 Zeichen · 35 Bildschirme
」
夫人はこれを聞くうちに、差俯向いて、両方引合せた袖口の、襦袢の花に見惚れるがごとく、打傾いて伏目でいた。しばらくして、さも身に染みたように、肩を震わすと、後毛がまたはらはら。
「寒くなった、私、もう寝るわ。」
「御寝なります、へい、唯今女中を寄越しまして、お枕頭もまた、」
「いいえ、煙草は飲まない、お火なんか沢山。」
「でも、その、」
「あの、しかしね、間違えて外の座敷へでも行っていらっしゃりはしないか、気をつけておくれ。」
「それはもう、きっと、まだ、方々見させてさえござりまする。」
「そうかい、此家は広いから、また迷児にでもなってると悪い、可愛い坊ちゃんなんだから。」とぴたりと帯に手を当てると、帯しめの金金具が、指の中でパチリと鳴る。
先刻から、ぞくぞくして、ちりけ元は水のような老番頭、思いの外、女客の恐れぬを見て、この分なら、お次へ四天王にも及ぶまいと、
「ええ、さようならばお静に。」
「ああ、御苦労でした。」と、いってすッと立つ、汽車の中からそのままの下じめがゆるんだか、絹足袋の先へ長襦袢、右の褄がぞろりと落ちた。
「お手水。」
「いいえ、寝るの。」
「はッ。