Japanische Klassiker mit Furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lesen Sie 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.403 Zeichen · 39 Bildschirme
ちらちら廻りつつ、廻りつつ、あちこちする。……
と、御手洗は高く、稚児は小さいので、下を伝うてまわりを廻るのが、さながら、石に刻んだ形が、噴溢れる水の影に誘われて、すらすらと動くような。……と視るうちに、稚児は伸上り、伸上っては、いたいけな手を空に、すらりと動いて、伸上っては、また空に手を伸ばす。――
紫玉はズッと寄った。稚児はもう涼傘の陰に入ったのである。
「ちょっと……何をしているの。」
「水が欲しいの。」
と、あどけなく言った。
ああ、それがため足場を取っては、取替えては、手を伸ばす、が爪立っても、青い巾を巻いた、その振分髪、まろが丈は……筒井筒その半にも届くまい。
三
その御手洗の高い縁に乗っている柄杓を、取りたい、とまた稚児がそう言った。
紫玉は思わず微笑んで、
「あら、こうすれば仔細ないよ。」
と、半身を斜めにして、溢れかかる水の一筋を、玉の雫に、颯と散らして、赤く燃ゆるような唇に請けた。ちょうど渇いてもいたし、水の潔い事を見たのは言うまでもない。
「ねえ、お前。」
稚児が仰いで、熟と紫玉を視て、
「手を浄める水だもの。」
直接に吻を接るのは不作法だ、と咎めたように聞えたのである。