Japanische Klassiker mit Furigana
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さど
佐渡
Lesen Sie 佐渡 (さど) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.270 Zeichen · 23 Bildschirme
ごはんを食べてしまって部屋に一人で端座していると、さむらいは睡魔に襲われるところとなった。ひどく眠い。机の上の電話で、階下の帳場へ時間を聞いた。さむらいには時計が無いのである。六時四十分。いまから寝ては、宿の者に軽蔑されるような気がした。さむらいは立ち上り、どてらの上に紺絣の羽織をひっかけ、鞄から財布を取り出し、ちょっとその内容を調べてから、真面目くさって廊下へ出た。のっしのっしと階段を降り、玄関に立ちはだかり、さっきの番頭に下駄と傘を命じ、
「まちを見て来ます。」と断定的な口調で言って、旅館を出た。
旅館を数歩出ると私は、急に人が変ったように、きょろきょろしはじめた。裏町ばかりを選んで歩いた。雨は、ほとんどやんでいる。道が悪かった。おまけに、暗い。波の音が聞える。けれども、そんなに淋しくない。孤島の感じは無いのである。やはり房州あたりの漁村を歩いているような気持なのである。
やっと見つけた。軒燈には、「よしつね」と書かれてある。義経でも弁慶でもかまわない。私は、ただ、佐渡の人情を調べたいのである。そこへはいった。
「お酒を、飲みに来たのです。」私は少し優しい声になっていた。