Japanische Klassiker mit Furigana
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びんじょうのずえ
便乗の図絵
宮本 百合子
Lesen Sie 便乗の図絵 (びんじょうのずえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.614 Zeichen · 19 Bildschirme
毎日朝から晩まで働いて、まともに暮そうと努力している人民層の生活は、日々にきりつまりつつあった。男がいなくなったこと、女がみんな働きに出てゆかなければならないこと、しかも女は男なみに働いても女だということから決して男と同じ収入は得られない実状から、日本の人口の九割以上は、ほんとに戦争の負担にひしがれて生活とたたかいつつあった。こういう実直な、いわれるままに「聖戦」を信じて夫をおくり息子たちをおくり、その死に耐えた人々の誰が、何に便乗することができたろう。はじめの頃は、自分たちの住んでいる街や村のまわりにも、何軒かは便乗景気のところもあって、何処やら努力のつぐのいは、身近いところにちらついていそうであった。しかし、小資本の企業がバタバタ整理され、竹すだれのかげからモーターをうならしていたうすぐらい町工場の窓がひっそり閑としてからは、便乗はますます普通のものには手のとどきかねるところで廻わされてゆくからくりとなって来た。
戦争という事業は、戦場で、最新式の武器で、兵士という名でそこへ送り出されたそれぞれの国の人民たちに殺し合いをさせるばかりか、軍需生産という巨大な歯車に小経営者の破産をひっかけ、勤労者をしぼり上げ、女子供から年よりの余生までを狩りたてて、独占資本という太い利潤のうけ口へ、血の中からすくい上げ