Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしゅう
俘囚
海野 十三
Lesen Sie 俘囚 (ふしゅう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.938 Zeichen · 31 Bildschirme
「居ないものは居ない。お前の臆病から起った錯覚だ! どこに光っている。どこに呻っている。……」
「呀ッ! あなた、変でございますよ」
「ナニ?」
「ごらん遊ばせ。井戸の蓋が……」
「井戸の蓋? おお、井戸の蓋が開いている。どッどうしたんだろう」
井戸の蓋というのは、重い鉄蓋だった。直径が一メートル強もあって、非常に重かった。そしてその上には、楕円形の穴が明いていた。十五糎に二十糎だから、円に近い。
夫は秘密の井戸の方へ、ソロリソロリと歩みよった。判らぬように、ソッと内部を覗いてみるつもりだろう。腰が半分以上も、浮きたった。夫の注意力は、すっかり穴の中に注がれている。すぐ後にいるあたしにも気がつかない。機会!
「ええいッ!」
ドーンと夫の腰をついた。不意を喰らって、
「なッ何をする、魚子!」
と、夫は始めてあたしの害心に気がついた。しかし、そういう叫び声の終るか終らないうちに、彼の姿は地上から消えた。深い空井戸の中に転落していったのだ。懐中電灯だけが彼の手を離れ、もんどり打って草叢に顎をぶっつけた。
(やっつけた!)と、あたしは俄かに頭がハッキリするのを覚えた。