Japanische Klassiker mit Furigana
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しなののやまめのみりょく
信濃の山女魚の魅力
葉山 嘉樹
Lesen Sie 信濃の山女魚の魅力 (しなののやまめのみりょく) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.397 Zeichen · 5 Bildschirme
変だな、と思って引っ張り上げると、ひどい手応えがある。テグスを切られないように、心臓がドキドキするのを辛抱して、引き上げると、一尺もある山女魚がひっかかっていることがある。
「ははあ、野郎、下流から上って来るところに、餌が流れて来たもんだから、銜えて上ったんだな」
と云うことを私は感得した。
一度は、やはり二尺幅位の小溝で、六寸位の山女魚が、上流を向いて、じっとしているのを見付けた。
上から、私は蚯蚓を流して、一寸横の方を流してやった。が、振り向きもしない。
そこで、今度はかっきり、奴の鼻の先きを目がけて流してやったが、何と、その山女魚奴! キジ蚯蚓が怖ろしいのか、除けてしまった。その除ける時、皮肉な奴だ、私の顔を、じっと見上げるのである。
「駄目だよ。釣針が出てるじゃないか」
と、私の顔を見上げて云ってるように、私は思った。
私が、ハッキリ山女魚の姿を見ているのだから、山女魚だって、私を見てるには違いない。そうすれば、この細長い二本の鰭でもって、地上を立って歩く魚は、きっと、自分の顎に釣針を引っかけて引っ張り上げる例の奴に違いないと云うことを、その小さな山女魚奴、ちゃんと呑込んでいるのだ。