Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

Lesen Sie 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.988 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

俺は東京の憲兵隊のものだ。分ったか。もう観念して上って来い。でないと、この穴がお前の墓場になるんだぞ」

望月少佐は底力のある低い声で穴居人に呼びかけたが、相手は陰険な表情を少しも動かさないで、黙りこくっていた。

「オイ、聞こえないのか。お前、日本語が分らんのか」

相手は身動きもしなかった。

少佐はもう無駄な口を利かなかった。ポケットに用意していた小型ピストルを取り出し、引金に指をかけて、新一の持つ懐中電燈の光の中にニュッと突き出し、穴居人に狙いを定めた。相手は明かにそれを見た。しかし動かなかった。

「上って来い。一から十まで数える間猶予してやる。分ったか」

そして少佐は一、二、三、とゆっくり数えはじめた。だが、相手はふてぶてしく押し黙ったまま微動だもしなかった。

七、八、九、十、……数え終ると同時に、引金が引かれた。穴居人の頭の上の土が飛び散って、パラパラと彼の顔にかかった。

ここに至って怪人物はやっと御輿をあげるように見えた。彼は狭い穴の中にヌッと立ち上った。そして非常にノロノロした動作で、用心深い大蜘蛛のように、地上に這い上って来た。少佐と新一とは、男の手を左右から捉えて、穴の外に引き出し、そのまま手を離さず壕の入口へと向かった。