Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうとう
偸盗
Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme
――おれは、敵には用捨しない。敵も、おれに用捨はしないだろう。そうなれば、落ち着くところは、今からあらかじめわかっている。弟を殺すか、おれが殺されるか。……)
太郎は、死人のにおいが、鋭く鼻を打ったのに、驚いた。が、彼の心の中の死が、におったというわけではない。見ると、猪熊の小路のあたり、とある網代の塀の下に腐爛した子供の死骸が二つ、裸のまま、積み重ねて捨ててある。はげしい天日に、照りつけられたせいか、変色した皮膚のところどころが、べっとりと紫がかった肉を出して、その上にはまた青蝿が、何匹となく止まっている。そればかりではない。一人の子供のうつむけた顔の下には、もう足の早い蟻がついた。――
太郎は、まのあたりに、自分の行く末を見せつけられたような心もちがした。そうして、思わず下くちびるを堅くかんだ。――
「ことに、このごろは、沙金もおれを避けている。たまに会っても、いい顔をした事は、一度もない。時々はおれに面と向かって、悪口さえきく事がある。おれはそのたびに腹を立てた。打った事もある。蹴った事もある。が、打っているうちに、蹴っているうちに、おれはいつでも、おれ自身を折檻しているような心もちがした。