Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうとう
偸盗
Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme
あの虫のように、自分もほどなく死ななければならない。死ねば、どうせ蛆と蝿とに、血も肉も食いつくされるからだである。ああこの自分が死ぬ。それを、仲間のものは、歌をうたったり笑ったりしながら、何事もないように騒いでいる。そう思うと、猪熊の爺は、名状しがたい怒りと苦痛とに、骨髄をかまれるような心もちがした。そうして、それとともに、なんだか轆轤のようにとめどなく回っている物が、火花を飛ばしながら目の前へおりて来るような心もちがした。
「畜生。人でなし。太郎。やい。極道。」
まわらない舌の先から、おのずからこういうことばが、とぎれとぎれに落ちて来る。――真木島の十郎は、腿の傷が痛まないように、そっとねがえりをうちながら、喉のかわいたような声で、沙金にささやいた。
「太郎さんは、よくよく憎まれたものさな。」
沙金は、眉をひそめながら、ちょいと猪熊の爺のほうを見て、うなずいた。すると鼻歌をうたったのと同じ声で、
「太郎さんはどうした。」とたずねたものがある。
「まず助かるまいな。」
「死んだのを見たと言うたのは、たれじゃ。」
「わしは、五六人を相手に切り合うているのを見た。