Japanische Klassiker mit Furigana
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びぜんめいきゅうでん
備前名弓伝
山本 周五郎
Lesen Sie 備前名弓伝 (びぜんめいきゅうでん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.649 Zeichen · 50 Bildschirme
江戸城中でも親しかったし、参覲の上り下りには必ず二三日滞在するのが例である。対面の挨拶が済むと間もなく、安芸守光晟が膝をすすめて、「このたびはいささか変った土産物を持ってまいったが、お受けくださろうか」「毎々お心尽しでかたじけない、安芸侯が珍しい物と云われるからはさぞ珍重であろう、よろこんで頂戴いたす」「但しお受取りくださるうえはこちらにも所望がござる、しかしそれは御覧にいれてのうえで」そう云いながら、家来に命じて、庭前へ六尺四方もありそうな四角い箱のような物を運び込ませた。「あれじゃ」「ほう、またひどく嵩高な物だが、何でござろうか」「蔽いをとれ」はっと答えて家来の一人が被せてある蔽い布をとった。現われたのは鉄格子を嵌めた大きな檻で、なにか中に動物が一疋いる。
「毛物のようじゃな」「されば、国許の天上山と申す深山で獲った狼でござる。頭から尾の尖まで五尺九寸、重さ十三貫目あまり、これまで多年のあいだ領内を荒し廻り、牛馬を喰うこと数知れず、人間も十三人までかれの牙にかかっておる、稀代の兇獣でござる」「ほう、ではこれが土産にくださるという品か」「いかにも」