Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
びぜんめいきゅうでん
備前名弓伝
山本 周五郎
Lesen Sie 備前名弓伝 (びぜんめいきゅうでん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.649 Zeichen · 50 Bildschirme
世間は広く、人間はさまざまでござるからな」「まことに……まことに」三之丞は如何にも尤もというように低頭し、人々に挨拶をして立去っていった。いや、三左衛門の怒ったこと、
「なんたる態じゃ三之丞」と、あとを追いながらしきりと喚きたてた。
三之丞が自分の屋敷へ帰ってみると、玄関へ出迎えたのは意外にも伯父の娘なつであった。試合の様子を心配してきたのであろう。式台におりて手をつきながら、気遣わしそうに三之丞を見上げた。
「お帰りあそばせ」「ああいま帰った。どうしたんだ」「御首尾は如何でございました」「負けだ」三之丞は弓をなつに渡しながら、あっさり笑って云った。「負けだよ」
そして、そのまま奥へあがった。なつは受取った弓を持ってあとを追おうとしながら、ふとその弓に眼をつけてあっと云うと、つくづくとうち返し眺めていたが、なにか合点するところがあったとみえ、そっと微笑しながら三之丞のあとをしずかに追った。弓を家来に渡して居間へはいってから、なつは静かに訊いた。
「三之丞さま、御勝負の様子をお聞かせくださいませぬか」「おまえに試合の模様を話してもしようがない、女はそんなことに気を使う必要はないよ、それより伯父上がひどく御立腹だ。