Japanische Klassiker mit Furigana
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そう
僧
小川 未明
Lesen Sie 僧 (そう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.206 Zeichen · 21 Bildschirme
私は、死人の形相だと思った。漆のような髪は顔にかかって眼が落ち窪んで、手足が痩せて、その姿を見た時戦慄とした。私は、もはや長くないと思った。きっと坊さんのお出なされたのは、彼の娘を迎いに来られたのだと思う。
静かな、暗い夜であった。白髪の婆さんと向い合って、歯の抜けた頭の禿げた爺さんが坐っていた。暗いランプは、家の内を心もとなく照していた。
バラバラと窓に当る音がした。けれど婆さんは聞き付けずに尚お語り出した。
「彼大水のあった時より、あの悪病の流行た時が怖しかった。どうしてこの村は、人が長く落付かないだろう。私共も早く悴が一人前となって、店でも出すようになったら、町へ越して行きたいものだ。」
「あ、雨が降って来たな。」と耳を傾げていた爺が言った。
「暮方西の方が、大変に暗かった。静かな晩だから降るかも知れない。」
と婆が言った。
暫らく爺と婆と対い合って黙っていたが、外で雨の降る音がしとしとと聞えた。
「なんで坊さんは、この村にばかり来るんでしょう。」と不審に堪えぬという風で、婆が言った。
「何、この村の者が死に絶えてしまうまでやって来るだろう。」
といって、爺は眼を瞑ったまま下を向いて言った。