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Japanische Klassiker mit Furigana

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げんろくじゅうさんねん

元禄十三年

林 不忘

Lesen Sie 元禄十三年 (げんろくじゅうさんねん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.586 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「粗相だ。許せ!」

もう一度、よろめいて、わざとでないように、扇を踏みにじりながら、辰馬は、微笑をふくんで、逃げ出していた。

三

勅使が、玄関に着こうとしていた。吉良上野介は、お掛縁に控えて、最後に、すべての配りはよいかと、あたりを見廻した。

岡部美濃守が、じぶんとおなじように、玄関に着座しているのに、気がついた。

いままでは、強情我慢で、そしてまた、どこからか聞きだしてきては勤めてきたが、身についていないということは、争えないと吉良は思った。

仕方がなかった。それが、ここに現われたのだった――そう考えて、吉良は、ちょっとおかしかった。

吉良は、高家筆頭だから、そこにいるのが当然だったが、

「岡部が、ここに出しゃばっておるとはなにごと! 今に、顔の上らないほど、手きびしくたしなめてやろう――。」

扇箱以来の美濃守への不愉快さが、吉良に、この報復の機会を得たことを、痛快がらせた。横眼に、美濃守を見やって、待っていた。

勅使の一行が、近くへ来たとき、吉良は、わざと低声だった。

「美濃殿――。」

聞こえないらしかった。

「美濃殿!」

のっそりと、美濃守が、答えた。