Japanische Klassiker mit Furigana
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あにのこえ
兄の声
小川 未明
Lesen Sie 兄の声 (あにのこえ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.426 Zeichen · 9 Bildschirme
」といって、考えました。
「美しい、絵のようなけしきが、目に浮かんでくるよ。」
「どんなけしき? 現実でなく、架空な、未来の世界とでもいうのですか。」
「いや、そんな空虚な夢ではない。たとえば、赤い夕空の下に、工場の煙突がたくさんたっている、近代的な街の風景とか、だいだい色の太陽が燃える丘に、光線の波うつ果樹園とか、さもなければ、はてしない紺碧の海をいく、日章旗のひるがえる商船とか、そんなような、清らかで、朗らかなうちにもさびしい、けしきが目に浮かぶのだよ。」と兄は、いったのでした。ぼくは、
「にいさん、そうした美しさなら、いくらもあるけしきじゃありませんか。」と、いったのです。
兄は、じっとぼくを見て、
「ただわたしがそういっただけでは、わからないだろう。なるほど外観からいえば、この種の街や、工場や、農園は、絵として見ても、手近なものであるにちがいない。問題は、その町や、村で働いている人たちのことだ。わたしが、これまであった、あのような、謙虚で、正直で、しんせつな人々が働いているということでなければならぬ。かりにそうしたどうしの集まりだと想像してごらん。