Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりのなかに
光の中に
金 史良
Lesen Sie 光の中に (ひかりのなかに) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.411 Zeichen · 49 Bildschirme
私は何とも云えない程彼がしおらしくなって来た。だが私はあまり彼に言葉をかけることが出来なかった。突然彼が私の袖を引きながら云った。
「先生云うのかい」
「何をだい」
見ると彼の目はいつものように猜疑と反逆の光をともしていた。私ははっと気がついた。煙草の一件を云うのだった。
「云うもんか、誰にも云いやしないよ、可哀そうな母ちゃんのために持って行ったんだもの、今日は実に君が善い行いをしたと先生は思っている位だ。母ちゃんは煙草が好きなんだろう?」
「好いていやしないよ」と彼は妙にしょげて渋々呟いた。「母ちゃんは血が出たら……いつもきざみ煙草を傷にはっていたんだもの、僕ちゃんと知っていたんだもの」
成程と私は思わず息をのんだが、どうしたことか驚きの色さえ顔にあらわすことは出来なかった。私の目先が急にぼうと霞んで来たような気持だった。×××××××××血を流しては、彼女はいたましくもきざみ煙草をつばで練っては、幾つも幾つも傷口にはりつけていたのに違いなかった。丁度彼女の郷里の百姓達がそんな風にして傷を治そうとするように。
「そうか」
私たちはいつの間にか交番に近い所まで来ていた。