Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうせいかつしゃ

党生活者

小林 多喜二

Lesen Sie 党生活者 (とうせいかつしゃ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.537 Zeichen · 130 Bildschirme

Aozora Bunko

はいない。私の隣りでは銀行員らしい洋服が「東京朝日」を読んでいた。見ると、その第二面の中段に「倉田工業の赤い分子検挙」という見出しのあるのに気付いた。何べんも眼をやったが、本文は読めなかった。――それにしても、電車というものののろさを私は初めて感じた。それは居ても立ってもいられない気持だ。

用心のために停留所を二つ手前で降り、小路に入って二三度折れ曲がり、女のところへ行った。初めてではあり、それに小路に入ったりしたので少し迷った。店先にはお爺さんが膏薬の貼った肩を出して、そこを自分の手でたゝいていた。上の笠原さんがいますか、と訊くと、私の顔を見て黙っている。二度目に少し大きな声を出した。すると、障子のはまった茶の間の方を向いて何か分らないことを云った。誰か腰の硝子からこっちを覗いた。

「さア、出て行きましたよ」

内でうさん臭く云った。

私は、ハタと困ってしまった。何時頃かえるのでしょうかと訊くと、そんな事は分らんと云う。私の人相(身装)を見ているなと思った。どうにも出来ず、私はそこに立っていた。然し仕様がなかった。私は九時頃に又訪ねてみると云って外へ出た。