Japanische Klassiker mit Furigana
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とうせいかつしゃ
党生活者
小林 多喜二
Lesen Sie 党生活者 (とうせいかつしゃ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.537 Zeichen · 130 Bildschirme
私は、その人ごみの中に、誰か顔見知りの同志でも歩いているのではないだろうかと、どの位注意したか分らなかった。その後、刑務所の独房に帰ってから一二日眼がチカ/\と痛かったことを覚えている。
自動車が四丁目の交叉点にくると、ジリ、ジリ、ジリとベルが鳴って、向う側の電柱に赤が出た。それで私の乗っている自動車は停車線のところで停まってしまった。直ぐ窓際を色々な人の群がゾロ/\と通って行った。私は気が気でなかった。なかには車の中を覗き込んでゆくものさえいる。私は、イザと云えば逃げられるように、反対側のドアーのハンドルに手をかけたまゝ、顎を胸に落していた。やがて、ジリ、ジリ、ジリとベルが鳴り出した。私はホッとしてハンドルの手をゆるめた。
私はゾロ/\と散歩をしている無数の人たちを見たが、そう云えば、私は自分の生活に、全く散歩というものを持っていないことに気附いた。私にはブラリと外へ出るということは許されていないし、室の中にいても、うかつに窓を開けて外から私の顔を見られてはならないのだ。その点では留置場や独房にいる同志たちと少しも変らなかった。然しそれらの同志たちよりも或る意味ではモットつらいことは、ブラリと外へ出ることが出来て、しかもそれを抑えて行かなければならなかったからである。