Japanische Klassiker mit Furigana
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にゅうばい
入梅
久坂 葉子
Lesen Sie 入梅 (にゅうばい) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.934 Zeichen · 20 Bildschirme
すぐに奥の居間へ帰ろうとすると、小さい声の二人の話声がきこえる。おはるの部屋であるが電気はついていない。
「もうすこし右、そう、もうちっと強く、ああいい気持」
おはるの声である。
「ここか、きつういたむのか」
作衛の声である。私はあし音をしのばせて居間へ戻り、風呂敷をかけ低くした電燈の下でほほ杖をついたまま暫くぼんやりしていたが、おはるもおはるだ、じいさんに按摩をさせるなんて、じいさんもじいさんだ、と腹立しくなって来た。私がおはるを呼ぶ毎に、作衛は妻を思い出すより現実のおはるをだんだんその胸の内に意識するようになったのであろうか。そういえば、作衛の動作に、今までみられなかった若さが動きはじめて来たようにも思えた。おんなじ名前、そして脚がやっぱり悪い。私はなんとなく因縁付きのこの姐に、いい気持がしなかったけれど、とにかくよくはたらき、悪いこともしないので雇っているわけだった。やがておやすみを云い交す声がきこえ、作衛の、寝床へ入ると必ず一度するあくびとものびともつかぬのがきこえた。私もまもなく、絵筆を片附けて行雄の隣りに横になった。
そんなことがあってから、私は二人に注意を払うようになった。